スープとお皿

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スープとお皿

「みいくん。ご飯の時に寝たらだめだよ」  ママの声にはっとして、ぼくはお皿からかおを上げた。  晩ごはんのとき、ぼくはかならずねむくなる。何度ママに言われても、ねむくてねむくてたまらない。  すると、目の前からしらないひとの声がした。 「みいくん。お願い、私に頭をくっつけないで。中のスープがこぼれちゃう」  ぼくはびっくりして、めのまえにあるお皿を見つめた。  コーンスープの入ったお皿が、ぼくにむかってはなしている。 「ねえ、お願いよ、みいくん。頭をこつんとされると痛いの。それで私、今とても困っているのよ」  お皿はほんとうにこまったという声ではなしていた。  ぼくはお皿がかわいそうな気がして、おもいきって立ちあがった。 「みいくん。どうしたの?」  ママはふしぎそうなかおをしている。 「ママ。ぼく、おふとんでねてくるね。ごはんはあとでたべるから」  ぼくがまっすぐおふとんに行くのを、ママはびっくりした顔で見ていた。  お皿をこまらせないためだもん。ぼくもたまには『おとなのたいおう』っていうのをするんだ。
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