第12話「あの後、みんなはどうなったの?」

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「えーっと、集合場所は……」 私は湖の辺りに建設された高級ホテルの駐車場へバイクを止めた。 「お、いたいた」 私は少し小さめな後ろ姿へ駆け寄った。 「おーい!」 彼女は私の声に気付いて振り返る。 「宮田さん!」 彼女は近藤茜。世界でたった二人しかいない、災害級生物として認定されている人間のうちの一人だ。 過去に全世界を支配し、滅ぼそうとした過去があるが、その力の強大さ故に警察や軍隊では管理しきれないため、災害級生物対策課の職員として正規採用する事で直接的に管理されている。 因みにもう1人の災害級生物は、同じく災害級生物対策課の非常勤職員として働く須藤朱莉だ。 「おはよう茜ちゃん。早いね〜」 「須藤さん、いっつも起きるの早いから。てか、そういう宮田さんだってまだ連絡してから30分も経ってないじゃん」 「まあね。アオダツミの調査でしょ?」 「うん。もしかしたら世紀の大発見かも!」 嬉しそうに話す茜。 あの頃とは違い、こっちまで笑いたくなるような笑顔だ。 「後ろ乗る?」 私は茜にヘルメットを差し出した。 「ありがとう」 茜はヘルメットを被り、タンデムシートに跨った。 「あのアオダツミ、すごく落ち着いてる」 私は双眼鏡を下ろし、茜に手渡した。 「大人しい子だから、捕獲も討伐も見送ってるんだって」 茜は言いながら双眼鏡をバックにしまった。 「で、世紀の大発見って?」 「見てあれ。背びれ」 よく見てみるが、資料のアオダツミとの違いはいまいちわからない。 「…何かおかしいの?」 「節の数。よく見てみて。ミズサンショウウオの雄の個体は背びれの節が23本。でも、あの子は22本しかない」 「え………それって……」 「そう。あれ、ミズサンショウウオじゃなくて、マダラサンショウウオモドキだと思うの」 ……数えてみると、確かに節の数は22本。過去のアオダツミの資料と照らし合わせてみて、この違いが明らかになれば、正に世紀の大発見となるだろう。 「……てことは、あれはアオダツミじゃなくて、新種の災害級生物……!?」 私は聞きながら双眼鏡を下ろし、茜の顔を見た。 「……その可能性はかなり高いと思う」 「すごいよ、茜ちゃん」 私は茜の頭をワシワシしながら言った。 「宮田さんほどじゃないけどね」 そう言いながらも、茜は嬉しそうだ。 「そういえば宮田さんが名前を付けた災害級生物って、具体的にどれくらいいるの?」 茜は首をかしげた。 「あー、それはね。あちこちで色々都市伝説が回ってるけど、実際はあなた達を含めて全7種」 それぞれ 【双牙の獣】デングラム 【雪の霊獣】サルジウス 【瘴気の蟲】バートラルブ 【零の龍】アスノルス 【混沌の娘】ネヴァーケイオス 【希望の光】ライトガール 【黄金の龍】ネルゼトラス が、私が命名した災害級生物達だ。ネルゼトラスは、元々【夕焼けの龍】ネルボルスの変異後の姿で、GMT-2056と仮番号が与えられていて、そこに正式に命名されたもの。 「実は名前の付け方にはある程度ルールがあって、人類存続の危機になりかねないほど強大な力を持つ災害級生物は、必ず名前の最後に【z】、カタカナ標記で【ス】が入るようになってるの。これ、あげるから暇なときに読んでみて」 私は『災害級生物命名必携』と書かれている手帳を茜に渡した。 「ありがとう、宮田さん」 「あの巨大マダラサンショウウオモドキが正式に災害級生物認定されたら、間違いなく名付け親は茜ちゃんになるからね。しっかり勉強しておいてね」
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