697人が本棚に入れています
本棚に追加
「悔しいからあんまり聞きたくないんだけど、イアングの気配は感じないのか?」
聞きたくない、という割に興味津々と言った顔でリノアに尋ねてくる。
「気配を読めるって言っても、魔獣の種類まで特定できるほどの域には達してないから。それに、一度でも遭遇したことあればまだしも、イアングに出会った事ないから余計に分からない」
ファイの方を見ることもなく、ただ淡々と事実を述べた。
「そうなのか!じゃあそれは磨くことができるってことだな?つまり俺にもできるようになる可能性はあるってことだ」
なぜか嬉しそうにしている意味が分からない。
それからも、周囲の様子を探りながら歩き続け、あまり深くに入らない程度で周辺を歩き回ったが、イアングらしき気配には辿り着かなかった。
時間は分からないが、太陽の位置と体感的な疲労度合いを考えるとそろそろ昼時だろう。
食事がてら休憩をとることにした。
水場のような場所もなく、苔むした岩場にそれぞれが座って昼食をとる。
最初のコメントを投稿しよう!