日常

1/2
685人が本棚に入れています
本棚に追加
/1265ページ

日常

「うわっ。リノアが来た。近づくなよ、能力なしがうつる!」 「能力なしは学校来るなよな。迷惑なんだよ」 授業が終わり、家への帰路で同じ学校に通う子どもたちに浴びせられる言葉。 こんな言葉は日常茶飯事で、最早反応することもなくなった。 実際、彼らが言うようにリノア・アーデンは、この世界で必ず持っているはずの能力を持っていなかった。生まれて早ければ数日、遅くとも6歳になるころにはなんらかの能力に目覚めるはずなのに、リノアは16歳になった今も何の力も使えない。 「リノアは異次元ホールから落ちてきた子どもなのだから、能力なしでも仕方ないのよ。そういじめないであげて」 見なくてもわかる。この声はベスタだ。 言葉だけを聞くとリノアを擁護しているようだが、顔はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべており、ただリノアを傷つけるためだけに発せられたものだ。 「……私は正真正銘アーデン家の娘よ。異次元ホールから落ちてきたわけじゃないわ!」 「あら。じゃあなぜ何の能力も使えないの?この世界にそんな人族はいない。別の世界から来たからしか考えられないじゃない。とっととこの世界からいなくなればいいのに」
/1265ページ

最初のコメントを投稿しよう!