17172人が本棚に入れています
本棚に追加
.
結婚式の披露宴、招待客はざっと100人を超えるだろう。
その多数が会社関係者なのは、二人が職場結婚だからだろう。
その中でも、新婦と同じ部署に所属する亜沙美が招待されるのは分かるが、全く関係のない私にまで招待状が届いたのかが疑問でしかない。
それに何を隠そう、前の席でカメラを向けられ、新婦の肩を抱きながら馬鹿ヅラを浮かべている新郎は―――私の元カレだ。
彼の熱い視線は、綺麗に着飾っている新婦へと向けられている。
その姿を見て、もう傷ついたりはしないけど……。
「……順当にいっていたら、あそこにいたのは凛子だったかもしれないのにね」
周りには聞こえないように、亜沙美がこっそりと耳打ちしてくる。
私と彼が付き合っていたことも、彼が後輩である高梨さんと浮気して修羅場で別れたことも、社内では割と有名な話。
だからなのか、心なしか今日は周囲から同情の視線すら感じる。
「……やめてよ。あんな男へ未練なんかないよ」
.
最初のコメントを投稿しよう!