12.兆し

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. 永田さんが気になっていたという手作りサンドウィッチの店は、テイクアウト専門店だった。 なので、会社のカフェスペースで食べることにして、溢れんばかりの具材がサンドされた魅力的な切り口のサンドウィッチを二つ買った。 会社に戻る途中で、私がもたもたしていたせいで、先を歩く小林さんと永田さんとの距離が開いてしまい、会社の前の赤信号に引っ掛かてしまう。 横断歩道の向こう側から小林さんが、先に行って席を取っていおくと大きな声で叫んだのが聞こえたので、私は大きく腕で丸を描いた。 信号が変わるまでの間、私は中谷さんと二人きりになる。 「すみません。私が、歩くの遅いせいで……」 「いえ、気にしていませんから。あの二人が早すぎなんです」 確かに二人は、1時間という限られた短い時間の使い方を熟知している出歩きのプロだから、移動も素早くスムーズなのだろう。 そんなことを納得していると、雑音に紛れながら、中谷さんがふと話し始める。 「私……あなたに、嫉妬していたんです」 「へ……?どうしてですか?」 私に嫉妬される要素なんて、全く無いはずなのに……何故? もしかして、中谷さんも柊平さんに密かに想いを寄せているとか……って、それはないな。 社員旅行のときに目にしてしまった、彼女と田辺部長との熱い情事を思い出して、くだらない考えを打ち消す。 すると彼女は、正直に胸の内を明かしてくれた。 .
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