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11.終章
「ヤバい!マジヤバいわよ💦」
膝上20センチのミニスカ。
スラリと伸びる美脚のヒールが駆けていく。
50m先に停まるバスが見えた。
「ちょ、ちょっと待って〜乗りま〜す❗️」
「プシュー」
バスのドアが閉まる。
「あ、こら、待って、待てって❗️お客様だぞ!待て〜💦、あっ⁉️」
ヒールのバランスを崩しよろめく。
歩道のガードレールポールに、右下段蹴りを放つ。(師範代レベルの有段者なのである)
何とか転ぶことは防いだ。
が、そのまま尻餅をついた。
「いててっ💧」
そこに小さな手が差し出された。
「大丈夫?おばさん」
「おば、おばさんはないでしょ!あなた。これでも大学出たてのホカホカの立派な弁護士さんよ!だいたい、おばさんが、こんなミニスカ履いて、あんなに早く走らないでしょ!」
「クス」
少女が笑う。
その無垢な笑顔に我に返る咲。
「ま…まぁ、いっか。今は急いでるの。もし何かあったらここへ電話して」
慌てて中学生に名刺を渡す弁護士。
「へぇ〜弁護士の咲さんね、私は七海。バスは待ってくれてるから、ほら急がなきゃ!」
(そうだったわ💦)
見ると、バスはまだそこにいて、前のドアが開いていた。
「良かった〜じゃあ、またね!」
急いでバスに乗り込む。
「ごめんなさい…えっと…」
名札を見る。
「山口と言います。こんな美人を置いて行ったら、バチが当たるからね」
そう言って、優しく微笑んだ。
妙な違和感を感じながらも、席に座る。
(デジャヴ…ってやつか?)
ふと見ると、少女の姿はなく、凹んだポール。
(七海さん…か)
サラリーマンの新聞がなぜか気になった。
『運命の悪戯か天罰か?
1年前のひき逃げ犯が同じ場所で事故死』
(何が運命よ、ついてない奴。"様ぁ見ろ!)
〜閉廷後〜
裁判が終わり、ヘトヘトで出てきた鳳来咲。
「テレビドラマの様にはいかないわね」
表は激しい雨。
「あちゃ〜やっぱ来たかぁ…💧」
今朝の彼女に、傘など持つ猶予はなかった。
なんでまた、こんな不便なとこに建てるかなぁ…とボヤきたくもなる。
すると、その前に車が停まった。
「咲さん。乗ってくかい?」
(マジで?警視庁のデカでしょあなた)
と思いながらも、乗り込む咲。
「………」(咲)
「そんなに見つめられると照れるじゃねぇか」
「本当に刑事なのあなたって?」
「そのつもりだかな」(笑顔)
(その笑顔は、何なのよ!)
東京本庁刑事課 富士本恭介 (35才)
今回の事件に関わってもおり、原告側の補佐として、呼ばれたのであった。
「しかし、やられたよ。全くお見事でした。あの証拠映像が偽造とは、よく見破ったね」
「ああ…あれね💦ただの勘よ、勘❗️」
真剣に驚き、咲を見つめる富士本。
「ちょっと!ちゃんと前見てよ。裁判終えた刑事と美人弁護士が、二人で事故!なんて洒落になんないわよ」
「気に入った❗️」
「あらそう。そりゃどうも。ってオイ💦」
「君は弁護士にはもったいねぇ!咲さん、東京こねぇか?」
「はぁ⁉️」
「あんな悪人を、無実にするって柄じゃねぇだろう」
「まぁ…正直、あんな奴一生ぶち込んでやりたいくらいよ。だいたい、あんたたち検事側が負けちゃうからいけないのよ❗️」
負かした本人が言うセリフではない💧
「だよなぁ。咲さんみたいに熱い敏腕刑事がいたらいいんだがなぁ…」
褒められると凄く弱い咲。
「ですよね〜。分かった!私もあんな奴ら弁護すんのは二度とゴメンだし。いいわよ。弁護士なんて辞めてやるわよ」
「さすが咲さんだ。じゃあ、東京で待ってるぜ、よろしくな」
一年後、彼女は富士本のいる東京本庁刑事課へ再就職したのである。
富士本というノイズが
咲の運命を大きく変えた
その瞬間であった。
〜XYZ〜
「あァー⁉️、抜かれてるし〜💧」
体感型シューティングゲーム。
その前で叫ぶ沙織。
「店長!NANAMIって誰よ〜❗️」
(ん?…)
「ナナミ?知らねぇなぁ」
何かを感じたが…
それだけのことであった。
〜 レインボームーン 〜 完結。
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