ルービス

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ルービス

 皆さん、こんにちは。今日も元気なフルールです。  さてさて、ここからは神力(ルービス)のご紹介です。  この国の王族と上級貴族の方々は、ルービスと呼ばれる特別な能力(スキル)をお持ちなのです。偉大なる神々や美しい宝石などに(ちな)んだ、平民に与えられるそれとは違う尊い力です。  現在の王室と臣下の皆様をご紹介します。  国王であられるゼース様は、全知全能の神のお力を与えられた特別なお方です。強く祈ることで、天候を変えることができるのです。代々、この力をお持ちの方が酷く悲しまれた時、王国は(しばら)く悪天候が続くとされています。  この能力こそが、この国の王である証なのです。  王妃のヘラー様は、恋の女神の力を与えられた方です。運命で惹かれ合う者同士の目を合わせさせる事ができる、なんともロマンティックな力です。時々、お城でお見合いパーティー(ファルシオ)を開き、運命の出会いをお手伝いされています。  財の神の力を与えられた左大臣のクテン様は、経営に長けているので国営費を管理されています。また、剣の腕が凄まじく、3つある親衛隊の指揮官も兼任されています。  少しお顔が怖いのですが、実は可愛いものがお好きなお優しい方なのです。ギャップ萌えというやつですね。  豊穣の神の力を与えられた右大臣のビス様は、祈りを捧げる事で植物の成長を早めることができます。現国王の弟君であり、端整なお顔立ちのイケメンさんです。誰に対しても平等に思い遣り、王国中の婦女子から圧倒的な人気を誇っておられます。  左大臣のクテン様と右大臣のビス様が協力して、この国を支えてらっしゃると言っても過言ではありません。  スティ様はゼース様とビス様の妹君で、人の心を落ち着かせる力をお持ちです。非常におっとりした方で、現在はヘラー様にお仕えされています。  海の神の力を与えられたイドー様は、水中を透視することができます。  リーテ様はイドー様の奥様で、海獣を従わせる力をお持ちです。この御二方のお力で、デメテールは水産業がとても盛んなのです。  デューサー様は、僅かな時間だけ時を止める事ができます。女性ながら親衛隊長であられ、他国との争いで幾度となく活躍されてきました。何より凄いのは、自国だけでなく相手国の被害をも最小限に留めてこられた事です。  非常にお優しく、慈愛に満ち溢れたお方です。凱旋された時にお顔を拝見しましたが、絶世の美女でした。  他にも、沢山の素晴らしい力を持った方々が尽力し、このデメテール王国を豊かに維持してくださっています。  ルービスという特別な力は、王族と上級貴族にしか与えられず、さらに同時に複数は存在しません。ただし、前任者が60歳を過ぎると後任者が現れます。  スキルやルービスには、力の強大さや使用時間に個人差があります。国民は、王族や上級貴族の方々を手本に、日々鍛錬を積み有事に備えてきました。  と言っても、とっても長い間平和なので、真面目に鍛錬している人はほんの一部の方なのですが。大抵の場合、自分の生活に見合った能力値で満足しているようです。  このルービスに準じ、王族と上級貴族には特別な掟があります。  まず、王族と上級貴族の方々は力によってお名前が変わります。スキルが発現した全ての国民は王室に報告するのですが、ここでルービスだと判別されると力に沿った名が与えられます。  デメテール王国では名が力を示し、職業と階級が決まっているものもあります。国王と大臣クラスの職は、それで決まっています。なので、国王の子が次期国王になるとは限らないのです。  上級貴族から王の力が発現すればその者の一族が王族となり、王族は上級貴族に戻ります。王妃様だった方は皇太妃様となり、次期国王と王妃を導かれます。代々王妃になられる方はお心が美しく穏やかで慈悲深い方ばかりで、国中の女性の憧れの存在(まと)なのです。  と、 普通なら権力闘争のひとつでも起こりそうな掟ですが、この国ではスキルが絶対的掟(ルール)なので従うのです。それを神の御心とし、熱い信仰心で平和への感謝を怠りません。  皆が、神力の発現を自分の事のように喜び、王の誕生を我が子の誕生のように祝います。王族・上級貴族・平民と身分の差はあれど、王宮の方々の力のおかげで貧困などは無い為、おおよそ平和なのかもしれません。  自分の為に使うも良し。他人の為に使うも良し。けれど、争い事などで悪用される事はほとんどありません。  元々この国の人々は争いを好まない者が多く、今日も今日とて平和です(。ᵕᴗᵕ。)
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