第1章 頭の上の暗号

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昔は暗号の意味が気になって、解読をしようとしていたが、今ではどうでもよくなっていた。そもそも、人に触れて初めて表示されるという条件が、内気な日和にとっては厳しすぎる。だから、この不思議な能力について知っているのは、家族と瀬里香くらいだった。家族と瀬里香にも最初は信じてもらえなかったし、そもそも他の人に言ったところで変な人と思われるのが目に見えていた。 「ねぇ、最近瀬里香以外の人の数字って見た?」 瀬里香は課題を見る時とは、対称的なキラキラとした目で問いかけてきた。日和は2日前の出来事を思い出しながら答えた。 「うん、一昨日体育でストレッチした時に、ペアだった美佳(みか)ちゃんに触れたから」 「美佳かー。で、いくつだったの?」 「それが0Aだった」 「0? うーん、ますます分からないよ。瀬里香と美佳で何が違うんだろ?」 瀬里香は不思議そうにしていた。美佳は日和の友達の一人で、これまた明るい女の子だった。そんな美佳と瀬里香で全く別の数字が出る。その理由なんて考えても分からなかった。 「瀬里香ちゃんはこの暗号を解読したい?」 日和は不思議そうにしている瀬里香に聞いてみた。
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