スキッドロウ~闇の取引~

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最初は、オヤ?と思う程度。ところが全国的にコマーシャルメッセージが発信されブレイクする前に、Z市内でバカ売れする。そんな製品、消費行動が身近な日常で頻発した。 私の管理下にある倉庫の保管履歴を見ると、そういった品はある一定期間Z市だけに配送されている。 元から統計をとりやすい人口、年齢分布、男女の割合だったのか、そうなるようZ市が移住者の促進に力を入れたのか!? 今では私達が越してきた頃と比べ、他から来る人が少ない。疫病の蔓延を防ぐ為、市が設置した検疫所を簡単に通過出来ないせいだ。転入者が少ないのは本当に健康上の理由なのか、はたまた統計上最適なバランスになった現状を崩さない為か… ただ一つ言えるのはZ市が早い時期から、個人の健康記録、学業成績、購買記録、行動履歴等を監視・収集し、市民のライフスタイル・データを多くの企業に売り渡していたことだ。 少額で多方面にわたる寄付や税だったりして気付きにくいルートであったが、確実にZ市の公共機関に見返りは納められ、お陰で一地方都市にしては快適すぎる生活を享受できたのだ。 室内管理システムによって、気分がリラックスする音楽が流され、統計的に性的興奮を誘発する香りが焚かる。各家庭に置かれたロボット・バトラーが、寝室にロウソクの灯をともし雰囲気を高める。 そういえば夕飯には精力がつく食材が使われてた。きっとロボット・バトラーが私達2人の生体データを鑑みて献立たのだろう。 閉じられ、作られた環境で、 管理され、操られた衝動だと認識しながら、 私は今夜もベッドの上で腰を振る。 (完)
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