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『安心して生活できる街』
『伸び伸びした教育』
『美しく老える街』
そんな文言が幹線道路沿い、Z市と隣接する市町村との境に掲げられている。
市中の公共施設正面の垂れ幕然り。
HP上にも唱われ常時移住者を募集している。
首都圏より中距離にあるZ市。
あの厄災を経験した人の中には、人混みから離れ自然豊かな環境で暮らしたい、子育てしたいと思い実行する人達が多数いた。
実際、物流と通信環境がととのっていれば、この星の何処にいても日常に不足はない事は分かっていた。だけど人々は漫然と日々生活の糧を得る為に移動し、学びや余暇の為に集うことを続けていた。
しかし禍いのもと、国レベルでのライフスタイルの変換を迫られ、在宅勤務、教育は家庭内でのタブレット学習が定着すると、通勤通学を考慮した住居選びをしなくても良くなった。
自分達が通勤に当ててた時間を子育てに使えるならと、私達は子作りを考え始めた。
パートナーとは上京して知り合った。お互い今住んでる地域に愛着がある訳ではない。
育児中も生活全般をペースダウンしたくなかったので、両親のいる郷里に戻る事も考えたが、条件の良い新天地を求めた。
それがZ市だった。
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