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疑念と計画
そんなある日のこと。行動力が高い姉によって、魔女の狂気じみた秘密が明らかにされてしまった。
「ねえ、魔女様が……み、み、見間違いじゃない、よねえ?」
「何ビクビクしてんの、みっともない。でもそんなになるなんて姉さんらしくもない。何があったの」
妹は様々な点で姉よりも優秀だった。姉よりも才能があり、冷静で、判断力もあった。それでも、決して姉に対して優位を主張しなかった。何よりも、ずば抜けた行動力、生存力を信頼していた。
「人を……食べてた」
「はぁ? あの魔女様が? いやいや、ちょっとそれは冗談がキツイでしょ。詳細は見たの?」
「見られるわけないよ!でも、見間違いじゃなかったら……その食べられてた人……い、いき……て……ううっ」
そこまで真剣に言われても、妹には未だ信じられない。優しい笑顔を向けてくれるあの魔女様が。真剣に自分達に向き合ってくれるあの先生が。まさかそんなはずは、と思っていた。当然姉はそうなると分かっていたので、証拠にとまたの機会に目撃できるよう計画を立てた。
そして妹は目撃した。姉が目を逸らす後ろで、妹はその様をじっくりと見つめていた。あちらにバレることも厭わず、ただただじっくりと。その目には、橙色の憎悪の炎が宿っていた。
「ねえ、わたし達……どうなっちゃうのかな」
「知らないよ。ああいうふうになるのかもしれないし、寿命まで飼い慣らされるのかもしれない。けれど私には考えがある。さっき思いついたの。あの腐れ女をぶっ殺してやる方法を」
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