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目覚める新たなる魔女
師の預かり知らぬところで、妹は自分の身に特別な変化が生じていることを知った。そして、妹は以前読んだ文献から、この変化がいかなるものなのかという知識を得ていた。
自分は次の魔女なのだと。そういうことは分かっていた。分かっていたので、ずっと疑問に思っていた。もしそうであるなら自分は魔女を殺すことになる。どのようにして?
動機ということに関しては、ここで答えが出ていたというわけだ。今彼女の中には、憎悪と殺意だけがある。そしてそれを動機にして、周囲の期待に応えるふりをしながら、時を待ち望んでいた。
「本当に、できるの?」
「できるはず。でも、私だけじゃ不安。こういうときに、双子に生まれてよかったって、そう思うの。姉さん、手を貸して。力は貸してあげる」
「それってどっちが借りるの?」
「これはギブアンドテイクってやつね。魔女の力の一部を分けてあげる。魔法を貸し与えるのの応用。特殊な魔法だけど……双子の姉妹なら、なんとかできるはず。肉体の性質が近いから。ここでちょっと試してみる?」
このようなこと、気軽に頼めるようなことではない。正気でない。だが、姉は妹を信じて、実験を承諾する。
闇魔法。本来であれば、この魔法を移されると、魔力の大幅弱体化や精神異常などの副作用が発生した上で、移された魔法も行使できない。そんな魔法を貸し与えて……成功した。
姉の容量の都合か、力は大幅に弱まってはいるが、それでも闇魔法を使うこと自体は可能となっていた。
二人で一つの魔女が、ここに生まれようとしていた。
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