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何を言ってしまったか気が気ではないが、それと仕事とは別だ。
しっかりプレサロの仕事をこなす。
「朝倉さん、ちょっと」
これからお昼という時、課長に呼び止められた。
「パン、買ってきて」
「あの、私これからランチに行くんですけど?」
財布を手に、先に出た麻里奈たちを追いかけるところだ。週に一度、外で食べるのを楽しみにしている。
「あとカフェラテも」
「いやだから私、ランチに。時間もないので」
すみません、と脇を通り抜けようとした私の耳元で課長が囁く。
「俺にあんなこと言っておいて、逆らう気か?」
体に電流が走る。
動けない私の手に夏目漱石を押し込み__。
「焼きそばパンな」
ニヤリと笑う課長に歯向かえるはずもなく、まだ体調が優れないからとランチを諦めて、コンビニに走った。
午後の業務を終えると、再び課長に呼ばれ。
「ここ、判子、押し間違い」
「あっ、すみません。すぐに直します」
書類を受け取るが、課長がその書類を持つ手を離さない。
グッと距離を寄せ__。
「罰としてキス100万回」
「えっ⁉︎」
「これもお前が自分で言ったんだろう?」
わ、私は一体、なにを口走ったのー⁉︎
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