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「お疲れ様でした」
小声と小走りで、課長の脇をすり抜ける。
今日はそそくさと帰って、頭を落ち着かせ、なにを言ったのか思い出すんだ__。
「どこへ行く?」
あえなく手首を掴まれた。
「家に帰るんですけど?」
「忘れたのか?」
課長が目を細める。
「お前が言ったんだぞ?」
「私、何を言ったんですか?教えて下さい」
「ここでか?」と、周囲を見回す。まだ残業している行員がたくさんおり「本当にここでいいのか?」とだめ押し。
「先に行って外で待ってろ。何を言ったか教えてほしかったらな」
そう言われれば、従うしかない。
仕事を終えて出てきた課長に顎で呼ばれ、車に乗り込む。
「教えて下さい。私、あの時なにを?」
きっと、とんでもないことを__。
「俺が好きだと」
やっぱり、告白しちゃったんだ…。
「それから__」
えっ⁉︎まだあるの?
「俺のすべてを知りたいと。俺の言うことはなんでもきくからと」
「うそ__」
「いや、うそじゃない。だから教えてやろう。俺のことをな」
課長がそう言って向かった先は__。
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