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街中をどんどん歩いていく。
夜の繁華街はとても賑やかだが、少し心細くもあり、私は必死に課長についていく。
だって、合わせて歩いてくれないんだもん‼︎
私がちゃんと付いてきてるか振り返りもしない。
「課長‼︎待って下さい‼︎」
「なんだ?」
「なんでもないですけど__いつもあそこでご飯を食べるんですか?」
「そうだな。自炊もたまにはするがな」
うちのキッチンで身を縮こませていた課長の背中を思い出す。
お粥、作ってくれたんだもんね。
今も、いつも行くジムとご飯屋さんに連れていってくれた。
ジムじゃ、みんな課長に見惚れてた。そんな課長が私にトレーニングを勧めてきて、鼻高々だったのは内緒の話。ご飯屋さんも、誰かを連れてきたのは初めてだって言うし。
課長なりに、私に見せてくれているんだ。
だからほんの少し歩幅が違って置いていかれるくらい、大目に見てもいいかな__。
「ここだ」
重厚なドアを開けて中に入ると__それは私とは縁遠い、煌びやかな世界。
「あら、章ちゃん‼︎いらっしゃーい‼︎」
出迎えてくれたのは、これで会うのが3度目__あのキス女だった。
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