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「__で、あるからして、室内でも最近は熱中症にかかるらしく、皆さんも充分に気をつけて今日も元気に、笑顔でガンバりましょう」
朝礼を締めくくったつもりの支店長だが、いつもの如く__。
「ちょっといいですか?」
課長の一声で、空気が凍りつく。
勤め始めて一週間だが、未だに誰も慣れないだろう。
「まず事務のミスが目立ちます。今は支店ごとにブロック分けされ、総合的な成績を競い合っているのは周知の事実では?ミスも立派な減点対象。どこかのお偉方が言いましたね、2位じゃダメなんですかと?」
そう言って、強張る事務方を睨みつけ間をためる。
「__2位じゃ意味がありません。勝負事に、優勝以外は価値はない。期末も迫っていることです。よりいっそう気を引き締めて、営業は1円でも多く契約をとってくるように。以上」
全員が、止めていた息でも吐くように、肩から力が抜ける。
もうすぐ開店時間だ。
銀行は朝が忙しい。待ち構えたようにお客様がなだれ込んでくる。
私も今日のお客様を確認すべく資料をサロンに__。
「朝倉さん、ちょっと」
課長に呼び止められた。
いかんせん、サロンと課長のデスクは、ほぼ隣同士。
聞こえなかったフリするわけにもいかず。
「なんでしょう?」
「コーヒー、買ってきて」
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