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課長がトイレに行くと席を立つと__。
「あなた、章ちゃんが好きなんでしょう?」
ママが戻ってきた。
「はい、好きですけど」
「嫌だ、面白い子ね。でも、あなたの手には負えないんじゃないかしら?」
「それ、どういう意味ですか?」
「いつもここに来ると、必ず誰か持ち帰るもの。章ちゃんが来ると、うちの女の子はみんな浮き足立って困るわ。ま、私もなんだけどね」
だから私には手が負えないと?
言葉がノドまで出かかったが、馬鹿らしくてやめておいた。
下らない。
実に下らない。
「課長、私、帰ります」
トイレから戻った課長に告げると、さっさと店を出た。
「待て‼︎」
無視して歩く。
「待てと言ってるだろ‼︎」
さらに無視せて歩くが、なんせ歩幅が違う。追いつかれて腕を掴まれた。
「なにを怒ってる?」
「怒ってません。明日も仕事なんで」
振り返って睨みつける。
いくら課長のことが知りたいからって、自分のキスした女と引き合わせるなんて、どうかしてる‼︎
「全部じゃないが、これが俺だ。仕事してジムに言って飯を食って飲みに出て、気の合った女がいたら一緒に帰る。お前が知りたかったことじゃないのか?それともなにか?33にもなって、女っ気がないほうが良かったか?」
課長の言うことも分かる。分かるけど___。
そうじゃない。
そうじゃない‼︎
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