この恋、育みます!

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けれど、路地裏に手を引かれ__。 ドン。 壁に突き飛ばされた。 逃げようにも、課長の腕が通せんぼをし、身動きが取れない。 目の前の課長は、仕事とはまた違った目をしていて。 お酒のせいもあるのか、トロンとしており、指で顎をクイッと持ち上げられた。 「これが俺だ」 キスされるところを、顔を背けて遮った。代わりに頬に課長の唇が__。 「やめて下さい‼︎」 「キスくらいしたことあるだろ?」 「どうしてっ__どうしてこんなことするんですか‼︎」 身を屈めて、課長の壁ドンから逃れた___。 __お前が、好きだからだ」 思わず立ち止まり、振り返った。 「俺のこと__好きなんだろう?」 「嫌いです」 「うそをつくな」 「あなたみたいな人、大嫌いです‼︎」 「俺は自己中で女好きで仕事人間だ。それが俺、北島章吾だ。ありのままの俺を__お前には見せたつもりだ。俺を知りたいなんて寝言、お前は言ってない。ただ俺が、お前に知ってほしかっただけだ、俺という人間を」 どういうわけか、その言葉は胸の深いところに突き刺さった。 切実な思いが伝わってきたからだ。
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