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私のアパートとは比べ物にならない、高層マンション。その20階が課長の自宅だ。
鍵を開けて中に入ると、奥のリビングに行く前に脇にそれ、私に向かってバスタオルを放った。
「それとも一緒に風呂に入るか?」
20畳はあるリビングは、とても清潔で片づいている。
そんな視線を察してか、週に2回クリーニングが入るらしい。
Tシャツを脱いで首からタオルを巻いている課長の裸を見ないよう、雨が落ちるガラスを__背後に課長が映った。
後ろから抱きしめるよう、シャンパングラスが胸元に。
「口移しのがいいか?」
本当にしそうな勢いだったので、慌ててグラスを受け取って半分ほど飲む。思ったよりノドが乾いていたのは、どういうわけか__。
「んんっ‼︎」
お互いまだシャンパンが残っている。課長のが私に、私の舌の裏の炭酸を、課長の舌が舐めとる。
体から力が抜け、指先が緩む。
グラスが滑り落ち、小刻み良い音とともに割れてしまった。
「あ、ごめんなさい‼︎」
屈んで拾おうとしたしたが__。
「ほうっておけ」
「でも__」
「これならいいだろ」
課長が持っていたグラスを放り投げた。
「お前が欲しい」
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