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「__って言われたのよ。それも荷物を持ってきた時よ。ここに判子(ハンコ)下さいっていつもみたいに言われてよく見たら、婚姻届だったの。旦那の名前と判子は押されてて私__その場でサインして返したわ」
そう話すのは、詩織さん。
真っ白なウエディングドレスを纏(まと)っている。
「素敵すぎます‼︎いいなぁ、私も憧れますー‼︎」
ワインレッドのドレスを着た麻里奈と、同じくワインレッドのドレスを着た私は、初めて馴れ初めを聞いていた。
それも結婚式当日に。
ついこの間、花嫁に「私、結婚するから」と、挨拶レベルで言われ、ブライズメイド、即ち花嫁の世話係として、後輩の私とそのまた後輩が指名されたというわけで。
詩織さんは自分が頼んだくせに__。
「かたや不倫で、かたや二股とは随分と縁起がいいわね」
なんて面白そうに言う始末。
「なんで麻里奈のこと?」
小声で訊くと「噂になってるから。このままじゃ良くないと思うわ。あなたはあなたは分かりやすいし。で、どっちにするの?」
「どっちって言われても」
そもそも課長と私は__。
伸治の告白にも、答えを出さないといけない。
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