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結婚式はとても和やかで優しい雰囲気に包まれていた。
旦那さんは、配達業者さん。
毎日、銀行にたくさんの荷物を運ぶ。詩織さんは判子を押し、今日の天気やら景気やらを話すうち、2人は距離を近づけた。粋なプロポーズもとっても素敵だ。
ケーキ入刀、キャンドル点灯、感謝の手紙。
中でも、フンドシ一丁でアイドルグループの歌を踊った伸治たち営業部には、拍手喝采。
ラグビーをやっていただけあり、女子行員たちがその引き締まった筋肉に触れ、黄色い声を上げる。
「若いな」
いつもとは違った装いもキマっている課長も、今日は無礼講らしく、ニコやかだ。
「課長もまだ若いですよ」
「お世辞はやめろ」
「すみません」
「謝るな‼︎そして認めるな‼︎」
ほろ酔いなのか、いつもより雰囲気が柔らかい。だからというわけではないが__。
「課長は結婚、なさらないんですか?」
「俺は__しない」
そう言って、手にしていたシャンパンを一気に飲み干す。
「そういうお前は?」
「私ですか?私は__そりゃ結婚できるなら__」
「結婚じゃない」
「えっ?」
「あいつが、好きなのか?」
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