この恋、投げます!

4/8
前へ
/197ページ
次へ
結婚式はとても和やかで優しい雰囲気に包まれていた。 旦那さんは、配達業者さん。 毎日、銀行にたくさんの荷物を運ぶ。詩織さんは判子を押し、今日の天気やら景気やらを話すうち、2人は距離を近づけた。粋なプロポーズもとっても素敵だ。 ケーキ入刀、キャンドル点灯、感謝の手紙。 中でも、フンドシ一丁でアイドルグループの歌を踊った伸治たち営業部には、拍手喝采。 ラグビーをやっていただけあり、女子行員たちがその引き締まった筋肉に触れ、黄色い声を上げる。 「若いな」 いつもとは違った装いもキマっている課長も、今日は無礼講らしく、ニコやかだ。 「課長もまだ若いですよ」 「お世辞はやめろ」 「すみません」 「謝るな‼︎そして認めるな‼︎」 ほろ酔いなのか、いつもより雰囲気が柔らかい。だからというわけではないが__。 「課長は結婚、なさらないんですか?」 「俺は__しない」 そう言って、手にしていたシャンパンを一気に飲み干す。 「そういうお前は?」 「私ですか?私は__そりゃ結婚できるなら__」 「結婚じゃない」 「えっ?」 「あいつが、好きなのか?」
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

397人が本棚に入れています
本棚に追加