その部屋で笑う少年

2/12

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 僕がまだ幼稚園に行ってた頃、僕の家族は東京の下町に住んでいた。  そして時々、車で半時間ほどの所に在った、パパの実家に遊びに行っていた。  ある夏の日の午後五時半ごろ‥‥  つまり‥‥  ――逢魔時‥‥おうまがどき――  だった‥‥。  それとなく僕は、何かに呼ばれたように、二階の奥の薄暗い部屋を開けた。  そこには、見たことのない浴衣姿の男の子がいた。  僕より少し背が低く、無口な少年で、今まで声を聞いたことはなかった。  最初、僕は変な子だな‥‥と思った‥‥。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加