『時を越えて』

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「パパ、ただいま。はー、涼しー! 生き返るぅ」 「おかえり。……ママ、顔赤いよ。大丈夫?」  お絵描きの道具を片付けながら、宏基は娘と二人でLDKに入って来た妻に声を掛けた。 「なんとかね。もう暑いのなんのって! みっちゃん、ママ今からシャワーするから一緒に入ろっか。汗かいてるでしょ?」 「うん!」  妻の誘いに娘が嬉しそうに答えている。夜の入浴とはまた違って、昼間のシャワーは水遊び気分もあるのかもしれない。  もちろんクーラーは入れているが、幼い子どもは汗かきだ。設定温度をそこまで低くしていないせいもあるだろうが。  シャワーを終えて戻って来た二人と、宏基が作ったかき氷を一緒に食べる。非日常にはしゃいでいた娘は、つい先ほど電池が切れたように床に突っ伏して寝てしまった。  リビング部分に昼寝用の小さな布団を敷いて、娘を起こさないようにそっと移動させ、お腹にタオルケットを掛ける。
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