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「こんな古いのまだ使ってんの!? 物持ちいいね」
ペンケースからはみ出た青いストライプのボールペンを目に留めた妻が、呆れたように呟く。
初めて芯を交換したのは中学のときだった。
小学生の間は、一人で街の文房具店を訪ねることも、親に「女の子にもらった」と説明することもできずにインク切れのまま置いてあったのだ。
その時宏基は、これが外国の名の通ったメーカーの品だと知った。とはいえボールペンなのでそこまで値の張るものではないが、小学生が持つにはやはり贅沢の範疇だろう。
それまでも粗末に扱っていたわけでは決してないが、より大切に使おうという気になったのを覚えている。
以来、何度も芯を入れ替えて愛用しているが、僅かに塗装が薄くなった部分があるくらいで驚くほど丈夫だ。
「俺の『青春』の伴走者だから」
宏基の大袈裟な台詞に、妻は声を立てて笑った。
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