『透明な墓標』

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「絵里、大丈夫? 烏龍茶かジュースでも頼む?」  しまった、祐実ほったらかしにしちゃってたよ。まあ酔ってボーっとしてると思われてるみたいでよかったわ。 「あー、平気。ありがと。祐実こそなんか追加いる?」  心配してくれてる祐実に、心の中で手を合わせる。ゴメンね。 「追加、……あ、あたしサラダ欲しいな~。どう?」 「サラダいいね。えーっと、小さいのはエビとチキンかぁ。祐実はどっち好み?」  ここは基本シェアサイズで、二~三人用か五~六人用だから。わたし好き嫌いないし、祐実になら合わせるよ。 「あたしはエビのが好きだけど。絵里もそれでいいの?」 「OK、OK。──あ、オーダーお願いします」  通り掛かった店員さんを呼び止めてサラダを頼んだ。  それにしても、今日のお酒は心の底から美味しかったわ。当然、祐実と会って喋って楽しかったからだけじゃなくて、ね。  ……いろいろ、思い出したしさ。
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