💀第30話【最終話】絶体絶命潜在意識

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💀第30話【最終話】絶体絶命潜在意識

決闘場に、秘密結社のアジトに向かっていた、大勢の華人兵達が慌てて戻ってきた。 華人王「早かったな!もう秘密結社を始末したのか⁉︎」 華人兵「それが大変です‼︎人工富士を超えた湖から、巨大な津波がこちらに押し寄せて来ます‼︎」 華人王「何だと‼︎ぬぉぉん‼︎こうしてられん、塔の頂上に早く登るのだ‼︎」 華人王は泣き崩れるKiralaを強引に引っ張り、迫り来る津波を避けるため、塔へ再び戻った。 Kirala「まだみんなが...」 華人王「ほっとけ‼︎オラァどけどけどけぇーい‼︎」 ロノウェは血塗れに倒れた拓矢と杉田を見つめ、決闘場の片隅に大きな蛇の抜け殻が落ちてある事に気がついた。 ロノウェ「これは...」 華人王は逃げ惑う華人兵を塔から突き飛ばし、我先にと頂上へと向かった。 塔の先端に登れば登るほど、階段は細くなり、そして脆く出来ていた。 華人王は振り返り、塔の上から華人兵に命令をした。 華人王「よく聞け華人兵ども‼︎お前らは塔を守るため、下で列をなし壁を作るのじゃ‼︎」 華人兵「そっそんな‼︎華人王様それは流石に無理にございます、それでは私達兵は皆津波に飲み込まれてしまいます‼︎」 華人王「王の命令が聞けんのか‼︎ならば弱者はこの場で殺してやる‼︎」 華人王は我を失ったように、上に登ろうとしてくる華人兵を、剣で刺し殺していき、塔のてっぺんには誰も近寄らせないようにした。 バリバリ‼︎ ガシャガシャガシャーン‼︎ 迫り来る巨大な津波は、コロシアムの建物を無常にも一瞬にして飲み込んでいく。 Kirala「お兄ちゃん...」 するとロノウェが、塔の上に翼を広げて現れた。 ロノウェ「華人王様、この津波はきっとKiralaの涙で出来た湖にございます、こいつを殺せば津波は収まるはずです。」 華人王「ぬぅぅぅん‼︎なんと‼︎Kiralaの能力だったとは...ならば仕方があるまい。」 華人王は迫り来る恐怖に耐えられず、塔の上からKiralaを躊躇なく突き落とした。 荒れ狂う津波は、渦を巻く龍の様に口を開き、塔の上から落ちていくKiralaを、一瞬にして飲み込んでいった。 上空に浮かび上がった大天使ミカエルは、津波に飲み込まれた杉田の死により、少しずつ光を散らしながら消えかかっていく。 その無数の光は、まるで雪のように塔に降り注がれ、華人王の手の平の上にひらりと落ちてきた。 その光の粒は、生命を宿したように、華人王の手の平で不思議に動きだした。 華人王「何だこれは‼︎光の粒が動いておるぞ‼︎」 ロノウェ「いえ...こっこれは‼︎違います...遅かったか‼︎第三人類が現れました。」 ----第三人類 ほんの小さな星粒のような第三人類は、華人王の手の平で何かを語り出した。 第三人類「私達はアカシックレコードcrewの協議の上、皆様に逢いにきました。」 華人王「これはこれは第三人類様、姿形のないと言われているあなた達が、わざわざこちらに来ていただけるなんて、大変光栄でございます。」 第三人類「願いを叶えに来ました。」 華人王「願いを叶えてくれる‼︎なんと‼︎それはいかなる願いもでしょうか⁉︎」 第三人類「私達に概念は存在しません。」 ロノウェ「その昔、潜在意識とも言われていたあなた達は、一度姿を表せば一瞬にして世界を変えられる力があると聞いております。」 第三人類「私達は深い眠りから覚めました。」 ロノウェ「ただ第三人類は人の憎しみや哀しみ恨みの刷り込みで全滅すると王が常々私に言っておりました...今回仕組んだ破壊兵器の悲劇でも第三人類様は何故完全に滅びる去る事はなかったのでしょうか?」 華人王「貴様ぁ‼︎何て事を言うのだ‼私はそんな事は一切申してはおらん‼︎この裏切り者めが‼︎」 華人王は剣をロノウェに向け、勢いよく振り落とした。 悪魔の身体に剣は透き通るように空振り、ロノウェは姿を消し去った。 華人王は剣を投げ捨て、泣きながら第三人類に詫びた。 華人王「どうかお許しを‼︎全て我が華人族のためにやった事であります。」 第三人類「恐れを捨てなさい、私達はどんな願いも聞き入れましょう。」 華人王は口元をにやりと動かした。 第三人類「ですが私達は...真実の愛を信じ貫いた者の願いしか叶えない。」 その瞬間、大きな光に一面が包まれ、全ての深い闇を明るく照らした。 華人王「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎」 ----all of life 何億光年も存在する太陽が森に光を差し込み、兎猫は群れをなし、生い茂った林檎の木を遠くから眺めている。 静寂に包まれた世界の果てに、小さな舟が静かな水の音を立て、古びたロッジのある丘へと、ゆっくり進んでいく。 Kiralaの膝の上、拓矢はゆっくりと目を覚ました。 水面に輝く煌びやかな光は、とても優しく、誠実な笑みを浮かべた。 完
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