記憶が無くなる熊さん

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「あんな事もあったなぁ~…懐かしい お前のおかげだよ! 友達が出来たのも、今の俺が居るのも……」 「・・・・」 「って……やっぱり喋らないか! 俺の空想だったのかもな?」 「なに言うてんねん!」 「え!?」 突然また、当たり前かのように話し始めた あの時みたいに…… 「な、なんで?」 「デジャヴを感じさすな! 同じこと、ガキの頃にも聞いとるぞ」 「だっ…だって今まで……」 「それは悪かった」 「何でだよ!」 「自分……ワシの事たやろ?」 「・・・・・」 「まぁ、仕方ないことやけどな お前が成長する度にな……ワシの人形としての 「役目」が無くなっていったんやで この意味分かるけ? お前が大人になる程に…! お前がワシの事をくらい楽しいと思う程に…! ワシの記憶からもんや 楽しい記憶も……自分の記憶も全部じゃ でも今また、自分はワシを思い出してくれた! だから喋れてんねん でも……もう…ワシも寿命や 人形としても……だから…間に合わへんわ だからせめて、この場だけでも…」 「何言ってるんだよ!!」 「え?」 「それでも男か!!」 「な、何を……ワシはただのにんぎょ…」 「!!」 「!?」 「お前……いやクッマ師匠は俺のだった! あの頃も、今も…… 確かに忘れていたかも知れない でも終わりじゃない!!」 「……どういう事や?」 「今からでも遅くないって事さ! 今日だけでも、また……みたいに戻れないかな?」 「自分…そんなこと言うたら…ワシ…ワシ……!」 「ほら、胸貸してやるよ!」 「・・・・・」 「あの頃とは逆だな……」 俺は優しく含羞みながらそう言う 「う…うぅぅぅ……。ええんか? ワシの言葉は周りの人間には聞こえへんのに……。」 そうだクッマが言う事は周りの人間には聞こえない でも、それでも良い……何故なら 「周りから理解されなくても良い お前さえ隣に居てくれたら……それで良いんだ」 そうだ……例えそれが「」だったとしても 俺にとっては、大事な…大事な……「」だから
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