記憶が無くなる熊さん

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実家に到着した 相変わらずここの立地が悪いせいで、車の駐車に時間が食われる まぁそういう所も田舎の味なんだけどさ 「ただいまぁ~!」 何年ぶりにそう言っただろう? 都会では一人暮らしだし、誰も家に居ないから そろそろ結婚でも考えないとな 「お帰りぃ~!」 母が出迎えてくれた 父は去年癌でこの世を去ってしまったから、 今は母一人でこの家に住んでいる 心配だから一応大型連休の時は必ずこうして 実家に帰えるようにしているんだ 「ご飯食べる?」 「え!?」 母の言葉に驚いて、慌てて腕時計の時間を確認する 出来る限り飛ばして来たけど、そんなにかかっていたのか?……と思ったがそうではなかった 針はきっちり「三時」丁度を指していた 「まだお昼だよ?」 「あぁ~!ごめんごめん」 この早とちりの性格は昔からだ 学校に行く時間でもないのに、朝の六時に起こしてきたり…… 晩御飯が出来たと呼ばれて行ってみたらまだ料理している最中だったり…… 思春期の頃はイライラもしたけど、もう慣れてしまっている まぁ、時間にルーズな人よりはマシだが…それでも! まだ晩御飯を食べる時間じゃない せめてそこだけは直して欲しいところではある 無駄な焦りは誰だって嫌だろ?
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