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その日の夜……
お風呂に入り、歯も磨いて、寝る準備が出来た俺は自分の部屋に行って布団を敷いていた
だがいつもなら眠たくなるはずの時間なのに、
その日は何故か眼が冴えていた
「眠たくないなぁ~……漫画でも読むか」
しばらく布団の上でゴロゴロしていたが、妙に落ち着かない
「視線」を感じる
辺りを見回すとその元凶はすぐそばにあった
「こいつ……」
母から貰った「熊の人形」
眼が無駄に大きいため、見られているように感じたんだろう
「ビビらせやがって!」
腹が立ったので、百八十度回転させてやった
これであの熊は壁しか見つめられないだろう
良い気味だ……。
明日お父さんの寝室に移動させよう
こんな気味の悪い物を自分の部屋に置きたくない
俺は再び漫画を読み始める
「・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・・」
そうして一時間位経ったくらいか……
そろそろ漫画にも飽きてきたので、電気を消して寝ようと思った
相変わらず眠たくなかったが、明日も行きたくない幼稚園に行かないと行けないので、眼だけでも瞑っていないと、早起き出来ない
「羊でも数えてればその内……」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・おい!」
「…おい!」
うん?暗闇から声がする
まさか夢?
もう寝たのか……羊も良いもんだな
「おい!起きろ!」
「うわぁぁぁぁ!!」
耳元で確実に声がした
俺は慌てて電気を付ける
大量の光が入ってきて、暗闇になれていた眼がとても痛い
やがて視界がひらけ辺りを見回すと
そこにあったのは……熊の人形だった
「えっ……え!?……なんで?」
頭がおかしくなりそうだった
先程確かに壁際を向かせたはずの物が、今は自分の枕の隣にある
「お前や、お前!」
俺の驚きを他所に、熊は当たり前かのようにまた話し始める
「・・・・・?」
「聞いとんのか!お前に言うとんねん!」
あまりの非常事態に脳が状況を中々理解してくれなかった
「え!?………くっ、熊が喋ってる?」
「そうや!お前に喋っとんねん」
分からないことが多すぎる
何故熊が喋っているのか
何故関西弁なのか
ていうか何で動けるんだよ……
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