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「な、何で!?」
「お前よくもやってくれたのぉ~!」
「え?」
「ガチャン!」
「……どうしたの?」
「大きな音がしたが、何かあったのか?」
先程の叫び声が聞こえたのか、両親が凄い顔をして部屋に飛び込んできた
俺は震えた声で状況を説明する
「こ、この熊喋ったよ!」
「はぁ~?」
「何言っているんだ?」
「喋ったんだって!!」
熊を持ち上げて必死に訴える
「おいおい持ち上げんなって!
危ないやろ…何しとんねん!」
「ほら、今も喋ってる!」
こんなに顔を真っ赤にして言っているのに両親は理解してくれるどころか、互いに怪訝な顔をして見つめあっているだけだ
「あの熊…喋る機能でもついてんのか?」
「い、いや…そんな事ないわよ!
買った時だって普通の人形だって……
喋る機能のやつなんてもっと高かったわ!
だから安い方買ったのに……」
「だったらアイツなんで喋ったなんて……」
「き、きっと夢でも見てるのよ」
「う~ん」
こそこそ話しているだけで、話を聞いてくれない両親に凄く苛立った
だっておかしいだろ?
今だってこの熊喋っているんだから!!
「奥さん!このアホに言うてくださいなぁ!
今すぐ下ろせ…言うて」
「ほ、ほら今母ちゃんの悪口言ったよ!!」
「何言ってるの?きっと悪い夢でも見ていたんでしょ?……明日も早いんだからもう寝なさい」
「そうだぞ!早起きしないと大きくなれないぞぉ~」
「じゃあおやすみなさい」
「ガチャン!」
結局何も分かって貰えなかった
本当に……喋っているのに。
俺だけに聞こえているのか?
「あらあら行ってもうたな。
ワシの声がまるで聴こえとらん」
「・・・・・・・ふんぬ!」
「ブゥッン!!」
思い切り熊を地面に叩き付けてやった
腹が立ったってのもあるが、人形が生きているわけ無いからだ
さっき母ちゃんも言っていたが悪い夢かもしれない
俺は何度も足で踏みつける
「痛い、痛い、痛い!
ちょっ!…やめろや!!…なにしてんねん!!」
「・・・・・・」
確実に喋ってる
どうやら俺は六歳にして幻聴が聞こえるようになってしまったようだ……
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