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浮遊生物の口の中…?をしばらく漂よった後、私は強い力に引き寄せられて外の世界にほおりだされた。
「…いたっ!!」
着地した先は硬い石材の地面で、地面に叩きつけられた体の一部がひりひりと痛んだ。
「おや?少し座標がずれたか。」
浮遊生物と同じ声が聞こえる。
説明もなしにこんな目に合わせた謎の生き物の声が。
思い出すとふつふつと苛立ちが湧き上がってきた。一言文句でも言ってやらないと気が収まらない。
しかし、この苛立ちをぶつけようとあげた私の顔の先には見知らぬ妖艶な女性が立っていた。
予想外の出来事に呆気にとられた。
何故なら、彼女の腰からは2枚の大きな蝙蝠のような翼が生えており、頭からも長い角が生えていたからだ。
「悪いね、こういうのは直に見たほうが早いんだ」
彼女は私が呆気にとられて動けなくなったことが好都合とでも言わんばかりに笑みを浮かべ、私と向き合うようにしゃがみ込んだ。
…まず彼女は長く細い左手を私の左手に絡ませた。そして、空いた右手を私の頬にを包み込む。
そのせいで必然的に彼女と向き合う姿勢になってしまった。彼女の美しさは明らかに人知を超えており強制的に目を奪われる感覚があった。
…彼女はしばらくの間、瞬きの時間をも惜しむように私を見つめていた。
しかし、彼女は「なるほど…」と何かに納得が言ったように、独り言を発した後、私の頭の先からつま先の先までを何かを確認するかのように見てから立ち上がった。
「おいで、診断結果を教えてあげよう」
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