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 日本のODA(政府開発支援)はミャンガラマ政府を通して外資が投入されるが、そのほとんどが国軍系列の企業に向けられていた。  まさか自分の父親が勤める会社が国軍系資本と提携し、パウェンの用地買収をしていたとは夢にも思わなかった。<プラネタリー&アイ>社は、立ち退きの代償として地元民の雇用を約束し、生活はさらに潤うであろうと、希望を持たせた。客の生活様式に寄り添う毎日の仕事の積み重ねが、未来への糧となる・・・と。  だが犠牲は甚大だった。住む家を追われ、農耕地は破壊され、クアラン族先祖代々の墓地もなくなった。  穏やかで平和な生活を望むクアラン族にとってそれは許しがたい暴挙だった。 「私は当時まだ子供だったけど、彼等の境遇に共感してた」 「それで?」 「プラネタリー&アイと軍が結託して、パウェンに出店するのは猛反対だった。地雷を建設予定地に仕掛けて、資材置場を吹き飛ばしてやろうと思ったんだ」 「地雷はどこで用意したの?」 「パウェン河の土手。解放軍と政府軍の戦闘の置き土産を拾った」 「そういうことか。二つの武装勢力は昔から衝突を繰り返してきたからね。パルジェは取り扱いに失敗して大怪我を・・?」 「はい。元々はパルジェの両親の墓参りとカンラン石拾いと建設の進捗状況を見るのが目的だったけど、僕たちは地雷を発見しておかしくなってしまった」  あの時の昂りは、今なお記憶に生々しい。仕掛け場所を探しているうちに、雷管の扱いを誤ったのが原因だった。  因果応報・・・といえばそれまでだが。
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