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「皮肉なことに、彼はそのスーパーにいるわ。<プラネタリー&アイ>で、惣菜を作っているそうよ。リハビリで苦労したけど、今は、元気に働いている」
これには驚いた。
あの晩、大怪我を負ったパルジェは解放軍の戦闘員に助けられ、国際人権団体に引き継がれたという。
「パルジェと約束したのでしょ、必ずここへ戻ると」
広報官が言った。
「どうして、知ってるんですか」
「どうしてですって? 私は昔、マンダレアン孤児院の教師をしていたから。パルジェは私の教え子なのです。彼はあの日のことを、全部話してくれました」
血まみれになった彼の姿が蘇った。僕は彼を置き去りにしたのだ。
パジェルはそこで働きながら、どんな思いで僕を待ち続けたのだろうか。
私はパウェンの空を仰いだ。
涙でぼやけた夕焼がどこまでも広がっていた。
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