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それから暫く経った或る日の事。
その頃のボクがイジメに遭っていた事実が白日の下に晒される事となり、ホームルームの時間にボクのクラスの教室は騒然となっているのだった。
「………どうして、直ぐに先生に教えてくれなかったの?」
クラスの担任の森下洋子が眉間に皺を寄せながらボクを責める。その頃のボクは、泣きじゃくるばかりで何も言い返せなくて。
………………だって。
子供の頃のイジメなんてモノは、告げ口をしてしまうと、返って、エスカレートするものだから、その頃のボクは怯えてしまっていて、人間不審であるとか人間恐怖に似た概念に取り憑かれていたみたいで、誰にも打ち明けられなかった訳であり………。
直ぐ様、ボクを虐めていたふたりは起立させられていたのだけれど。その時、傍らでいた美穂ちゃんも立ち上がり、担任に打ち明けるのだった。
「………アタシもイジメてしまいました。」
………………………………???
美穂ちゃんは、ボクをイジメたりなんかしていなかったのに。………どうして?
イジメられる事が辛くて、学校に通う事が怖くて、思わず死んでしまいたいだなんて思い始めて………。だけど、美穂ちゃんはボクの傍では何時も笑顔でいてくれたから、ボクはイジメに立ち向かう勇気をくれていた筈。
それから暫く経ってからの彼女の一言。
「………見て見ぬ振りしか出来ない人間も、虐めている人間と同じだから。………何もして上げられなくて、ゴメンね。」
それでも、最後にはクラスの担任に告げ口してくれたのが美穂ちゃんだったっけ。
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