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「テイクオフ!」
勢いよく白い波しぶきが飛び散る。
長い手足をうまく使った、男顔負けのダイナミックなライディング。
しかしそれでいてしなやかさもある。
まるでその姿は海を渡る天女ように神秘的だった。
高度なサーフィンスキルとテクニックが必要な「エアリアル」を、軽々と涼しい顔で何度も決めていく。
高い波頭が切り立ったところに、ボードを運んで波の上に大きく飛び出し、ボードと体が離れないようにコントロールしながらスマートに着地する。見事だ。
次は「アーリー・ウープ」。
難易度の高い技を楽々とやりこなすには、ボードコントール、波の動きを読む力、スピードと、サーフィンに必要なスキルの全てが高いレベルで備わっている必要がある。
――トク、トク、トク、トク。
心臓が激しく鼓動を打つ。
気付けば興奮して砂浜に立ち上がっていた。
レイカはしぶきを豪快に上げながら、次々と波をさばいていく。
アマチュアだとは思えない動き。
そのライディングは息を飲むほどに美しく、無駄な動きなど一切ない。
黒のウェットスーツが良く似合う。
普段の洋服に比べて、手首と足首から先しか肌が出ていないから、女の子が着ると妙に色っぽく見える。見えていない場所を自然と想像してしまうからだろうか。
まさに彼女の胸元ははち切れんばかりに盛り上がっていた。ピタッと体に沿うウェットスーツは、どうしたって女性のボディーラインを強調してしまう。
自然と目線がそちらに向かってしまうのは、男だったら仕方のないことだろう。
――だなんて、レイカに向けるよこしまな視線を正当化してみたりする。
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