小さなパブリックビューイング

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「本当は去年あるはずだったんだけど、コロナで大変だったからね。今年することになったんよ。たくさん応援しようね!」 と、私が言うとさっそく姉妹はオリンピックごっこを始めた。その騒がしさから三坊(みーぼー)が泣いて起きてしまったのは言うまでもない。 その日の夜、子供たちは寝てしまい開会式は旦那と2人で観ていた。無観客のなか、各国の選手たちが入場してくるのを観て 「こんな世の中なのによく日本に来てくれたね。私は怖がりだから、同じ立場だったらオリンピック辞退しちゃうもん。来てくれてありがとうやね。みんな頑張って!」 と言ったら、横でコーラを飲みながら観ていた旦那が 「本当によく来てくれたよ。ありがとうやね」 と言った。 オリンピックが始まって数日がたったある日、私は新型コロナウィルスのワクチンを打つために病院を訪れていた。ここでも密を避けるため、広い待ち合い室に私を含め年配の人から同世代くらいの幅広い年齢層の10人が接種の順番を待っていた。 「番号札1番の方」 と看護師さんが呼びに来ると、そこからはさくさくと進み、すぐに私の順番も回ってきた。 看護師さんから説明を聞き、打つ直前 「力抜いてください」 と先生に笑いながら言われた。 「すみません、緊張してしまって。ははは」 「いろいろ言われてますもんね、副作用とか」 と、先生と話しているうちに接種は終わっていて痛みもほとんどわからなかった。
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