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フードのついた灰色のポンチョが、タオルケットに見えた。
なぜならそのポンチョを着た人物は、うつぶせに倒れていたからだ。
來樹は立ち止まって、水色のランドセルをゆすって背負い直した。どうしたらいいのか考えるための、ちょっとした時間稼ぎ。
ーーもちろん、知らない人に付いて行ったりしちゃいけない。むやみに個人情報をもらすのもダメ。それはわかっているけど、倒れている人を助けるのは? それならいいかもしれない。だけどーー
小学六年生の女子には、どうしたら助けられるのか、というのが、ちょっと難題だ。
仲良しでしっかり者のくるみがいれば、グッと事情は変わってくる。女の子は複数になると、とたんに張り切る生き物なのだ。せめて隣の家の二つ年下の圭太君だっていい。女の子は守る対象があると、とたんに強くなれる生き物でもあるんだから。
しかし今、來樹はたったひとりだ。張り切るよりもできれば逃げ出したい。おくびょう風にぴゅーぴゅーふかれている。
來樹はぐるりと周囲を見回した。携帯電話を持っている大人がうまい具合に通りかかり、救急車を呼んでくれないかな、と思ったのだ。けれどこんなときにかぎって、ひとっこ一人、通らない。無人の町になってしまったみたいに。
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