これって運命の出会いなの?

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「その腰に下げている、水筒があるじゃろう?」 「えー」 「えー。……とはなんじゃいっ!」とおじいさんかおばあさんははねおきた。 立って並んでみると、その人は來樹よりも三センチ背が低かった。來樹(きき)の身長はクラスでは真ん中くらいなので、おじいさんかおばあさんの身長は、背が低めの六年生位だということになる。 「あれっ! 意外と元気なんじゃ……」と來樹が言いかけると、「水筒からチャポンチャポンと水音が聞こえておったわい」と、いうおじいさん、またはおばあさんの声にさえぎられた。 「おじいさん、耳がいいんですね」  水筒の水音なんか聞こえるものなのかな? と來樹は驚いた。 「だぁれがおじいさんじゃいっ。ウチは女じゃ!」 「あ、おばあさんでしたか。すみません。フードで顔が見えなかったから。そんなに元気だったら、歩けますよね? わたし、公園まで案内してあげます」と來樹は言った。  見ず知らずの人に、自分の水筒に口をつけられるのはイヤだったからだ。來樹の水筒は直のみタイプなのだ。來樹はさりげなく、肩から斜めがけにしている水筒を、かばうように体の後ろに回した。 「水筒の水がいい」
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