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イマジナリーフレンドと言うのだと、ノコへと白衣の女性は言った。真っ白い染み一つない部屋の中で、しわ一つない白衣は潔癖なのだと思わせた。
女性はペンを置いて微笑みかけた。ノコへ。ノコの背後に佇む、ノコの母へ。綺麗で完璧な微笑みだとノコは思った。
「子供は空想の友人を持つものです。成長とともに友人から卒業し、本物の友人を持つのですよ」
頭の上でひときわ大きな溜息が落ちたのをノコは聞いた。そっと肩にかけられた手は温かく、けれど、ノコには重かった。
ノコはふと視線をあげた。女性の背後、沢山書類の挟まった棚の前。
イマジナリーフレンドとその存在を名付けられた『イク』が、困ったように、心底困ったようにノコへ微笑み肩をすくめ。ノコは目だけで、頷いた。
母も女性も、イクには気付いていないようだった。そして。
ノコは秘密主義になったのだ。
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