ティータイムの告白

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「げ! ジャスミンティーにミルクを入れるんですの?」 「これがうまいんや。今日急にジャスミンミルクティーが飲みたぁなってな」 そう言って鉄観音は上品にジャスミンミルクティーなるものをすすった。 「んあー! うまいっ!!」 まるで渇いた喉に冷たいビールを流し込んだかのような反応である。茉莉衣はぞっとした。 「紅茶にミルクならまだしも、ジャスミンティーにって、正気ですの?」 「正気も正気! ほら、ほうじ茶ラテとか宇治抹茶ミルクとかあるやん。アレと一緒や」 茉莉衣はその、ほうじ茶ラテも宇治抹茶ミルクも未体験である。未体験であるが、日本茶や中国茶に牛乳を混ぜる、というのがどうも納得がいかない。気持ち悪い、と思ってしまう。 「あんたも試してみぃ。ほれ、入れたろか」 鉄観音はミルクピッチャーを茉莉衣のカップに近づけたが、茉莉衣はカップをつかんで自分に引き寄せた。 「結構です! ワタクシはこのままでいただきます」 えー、おいしいのにーと言う鉄観音を無視して、茉莉衣はプレーンのジャスミンティーを口に運んだ。ジャスミンティーの香りが、鼻腔を爽やかに駆け抜けて行った。 茉莉衣が月餅のねっとりとした餡に舌鼓を打っていると、玄関のドアが開いた。誰かが帰ってきたようだ。
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