ティータイムの告白

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岡崎は大学に通っており、友だちに恵まれている。その中で、遥希(はるき)くんという友だちが一番仲が良いらしい。 「あー遥希くんね。あんたがよお本貸してもろてる子やろ」 岡崎は肯く。 大学に入るまで友だちのいなかった岡崎は、友だちが自分にもできたことが嬉しく、また、友だちと一緒にいることが、こんなに楽しいとは思っていなかった。特に、岡崎は遥希くんと一緒にいるのが楽しくて仕方がない。毎日学校に行くのが楽しみで、遥希くんと会えると嬉しくて飛び上がりたいような気持ちになるのだ。 ところがある日、二人の関係性が微妙に変化した。 「なんやなんや、喧嘩したんか? そいつにイヤなこと言われたんか?」 「鉄観音さん、お静かになさって」 ある夕立の日に、遥希くんは雨宿りに岡崎を家に来ないかと誘った。遥希くんの家は大学から歩いて十分ほどの場所にあるのだ。友だちの家に行ったことのない岡崎は初めてのことに興奮し、喜び勇んで大雨の中を飛び出した。二人でずぶ濡れになりながら遥希くんの住むアパートへ向うのも楽しかったと、岡崎は小さく微笑む。 「青春やんか。ええやないのん。なぁ。てか雨宿り全然できてへんやん、ずぶ濡れやん」 「鉄観音さん、話が進みませんわ」 雨に濡れた二人は遥希くんのアパートで一緒にお風呂に入り、一つのベッドに寝転がりながら恋バナをした。 「ま、まぁ……まぁっ!」 「茉莉衣、ちょっと落ち着こか」 その時、岡崎には遥希くんがきらきらと輝いて見えた。遥希くんは眠いと言って昼寝してしまったが、岡崎はどきどきして眠れない。すぐ横で眠っている遥希くんはきれいで、あたたかくて、柔らかくて、ずっとそばで見ていたいと心の底から思った。 「あたたかくて、柔らかくて!」 「茉莉衣、お茶飲み、お茶。ミルクいる?」 「それで僕」 遥希くんの頰に、自分の頬をすり寄せた。 「きゃあっ! 岡崎さんったら!!」 「大胆やのう、お主」 「そ、それから? それからどうなりましたのっ??」 そのまま二人でお昼寝しました。 「きゃあああ! 何も起きてない!!」 「え、起きてないの? 結構いろいろ起きてない? これ」
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