第一話 呪われた鐘

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 「ん、なんだ? 」  「今聞こえているこの音って、何なんでしょう? 一体何のために鳴らしているんですか? 」    男に音の正体について尋ねてみた。  「音? 」  「さっきから鳴っている鐘の音ですよ」  「う~ん? そんな音、どこからも聞こえないぞ」    男からの予想外の返答に、ひどく困惑した。    「そんな馬鹿な! 鐘の音ですよ、さっきからずっと聞こえているじゃないですか・・・」    しかし男には何のことかさっぱりわからないようで、ただ不思議そうにこちらを見つめているだけだった。  どうなっているんだ。何でこの男には聞こえていないんだ?   すると船のアナウンスが再び鳴り、後三分ほどで島に着くことを伝え、乗客に忘れ物がないよう注意を促した。俺は島の方に目をやった。見てみると島の港はいつの間にか、もう間近へと迫っていた。
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