第三話:・・できる・・のかな・・

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嶋田先生はさらに続けた。 「でも、キミたちは、今は出来なくて当然なんだ。 それはそうだよ。 あの人たちは、あらゆる曲、あらゆるジャンルの曲をこなしていた。 それらの曲を難なくこなす背景には、おそらくは、人には決して見せない苦労もあったはずだ。 これから先、出来なくて当然で終わるのか、出来て当然になるのかは、きみたち次第だ。 彼女たちがしていたであろう、決して見せない苦労、いわゆるそのための鍛練はまだしたことがない。 はっきり言って、今している練習なんて、鍛練というには、まだまだ序の口のものだよ。 出来て当たり前になりたいなら、もっと鍛練を積まなきゃダメだ。 でも、くれぐれも、燃えつきない程度にね。」 そう言ってくれた嶋田先生の言葉は、やはり音楽を奏でることの厳しさを知っている人のものに思える。 そして同時に、音楽を深く愛してもいるからこそなんだろうね。 うん。 頑張るよ! 乗り越えてみせるよ。 そして、手を伸ばし続ける。 いつか届くように。 「先生! 今日もご指導ありがとうございました! 明日もよろしくお願いします!」 私がそう言うと、続いてビワが 「明日もよろしくお願いします!」 と言っていた。 ビワと一緒に頑張ることが出来て、私は嬉しいよ。
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