第三話:・・できる・・のかな・・

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 その帰り道、自転車を漕ぎながら、今日の復習を頭のなかで行っていた。 隣で私と同じように自転車を漕いでいるビワが、 「今日の月、真ん丸だね!」 そう言ってくれていたことで、よく晴れた夜空を見上げると、そこには、ビワが言った通りの月があった。 私は思わず、夜空に浮かぶ真ん丸な銀色の月に見惚れてしまっていた、 まるで、私のフルートと同じ輝きだ。 とても美しい。 なんの無駄もなく美しい。 ・・そんなことを考えていた。 そんなこともあったせいかな。 私は、心のなかで、今日の月に願掛けをしていた。 『私に音楽を奏でる勇気と、追い付くための能力をください。 これからは、どんな時でも音楽を愛します。 そのための努力は、どんな時でも惜しみません。 だから、音楽からも愛される存在になれますよう、私を導いてください。』 って・・。
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