40人が本棚に入れています
本棚に追加
さらに、嶋田先生は、
「音を合わせようとすることは大事だけど、その背景として、お互いの個性を尊重して演奏すると、もっと良いよ。
きみたちは、ものすごい才能をもっている。
何よりも、練習に夢中になって励むと言う才能がね。
そして奏でようとする才能がね。
きみたちの音楽は、これからはじまるんだ。
どんなときでも焦らずにイライラせずに、常に心を整えて。
心と音は、どんな時でも連動しているから。」
そう言ってくれると、いつもはいけずな嶋田先生がさらに優しく見えてくる。
そして、かっこ良くも見える。
そうだね。
私たち、いや、私は、ようやく心の準備が出来たのだと思う。
スタートラインに立つまでの準備が、ようやく出来た。
そこに飛び込むだけの気持ち、それがようやく熟成して、嶋田先生が言ってくれているような、わずかながらの才能を掲げられるようになるまで、今までかかったんだ。
確かに、これからだ。
私たちはまだまだだ。
でも私は、私たちは、絶対に追い付いてみせる。
クラシック音楽の演奏を基本としながらも、必要に応じてあらゆるジャンルの音楽を演奏していた、あの人に。
最初のコメントを投稿しよう!