魅せられちゃってください~another one~

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琥太郎さんが僕を迎えに来てくれたあの衝撃的な日から、三ヶ月が経とうとしていた。 僕は相変わらず姉ちゃんと一緒に住んでいる。 また琥太郎さんと付き合うことになって、毎日がキラキラして幸せな生活でも、毎日仕事と家の往復は基本変わっていない。 琥太郎さんも社長さんになってから忙しいらしく、毎日顔を見ることはできなくて電話やメールで終わっていく日もある。 それが寂しいと思う反面、ライフスタイルが変わらない僕は、姉ちゃんと住んでいることが気持ち的にも経済的にも良かった。 姉ちゃんには感謝している。そう、色んなことに。 琥太郎さんも一緒に住みたいとは言ってはこない。お爺様の残された家に、僕の休みの前日に琥太郎さんが迎えにきて泊まるって感じの生活が続いてる。 今日もそんな感じで熱く甘い夜を過ごし、夜が明け始めた琥太郎さんのベッドの中で目を覚ました。 綺麗な寝顔を見ながら色んな想いを胸に、尽くしてくれている愛する人の頬に触れてその身体を抱きしめた。 ガタイ的には抱きしめられているんだけどね。でもこの人を抱きしめたくて背中に腕を回す。 仕事も家事もなんでもこなすこの人は、親を愛し妹と娘を、そして僕を惜しみなく愛してくれる。 オーストラリアにいる美紅ちゃんとは、毎日顔を見ながら会話をし、お父様と連絡を取り合う。 僕と再会するまでは時間ができればオーストラリアに行っていたみたいだし、親として出来ることを精一杯やっている。 そして僕にも。 別れる前の琥太郎さんも気遣いや心配りは心地いくらいパーフェクトな人だった。 だけど、再会してからは僕に気を遣い、様子を伺っているような場面に出くわす時がある。 何か不安を抱えているような、曇った表情をほんの一瞬だけ見せる時があるんだ。 確かに離れていた五年間で変わったところもあるのかもしれない。 でも気持ちは以前より強くなっている。それは僕の気持ちであって琥太郎さんの胸の内はわからないのだけど…… それでもその表情は気持ちとリンクしている気がするんだ。
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