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たんまり取れたオタマジャクシ。うちの近所じゃ梅雨どきくらいまで。でもここらの水田には、アマガエルの子がまだいっぱいいる。
「バケツ、ここにおいていい?」
げんかんで奥に声をかけると、「新聞紙しいてね」と、ばあちゃんの声が返ってきた。新聞紙は古紙回収の袋の中、それは土間のすみっこ。
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何だこれ。袋の古新聞をさぐっていたら、まざってた裏の白いチラシのすみっこにそんな印字が。ナナメってて、ちょっとこすれてる……?
ま、いっか。それはシカトして、下から古新聞を引っぱり出す。縁側のすみにしいて、その上に洗面器をおく。中にでっかい石を入れ、上半分がとび出すよう水をはる。オタマジャクシたちのおうちだ。バケツから一つ一つうつしていると。
ぽつ、ぽつ……ぽつぽつ。
あっ、今度こそ雨かな。
「……小雨になったかな」
じいちゃんが、一人将棋を打ちながら、ゆったりとそう言った。
ん? ボクは顔を上げて外を見た。
雨なんか、降ってないよね。……オタマジャクシの洗面器、庭に出しておいて、いいよね?
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