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子どもの頃、ぼくには友達がいっぱいいた。
皆で集まって、
僕ん家にある最新ゲーム機を使って、
仮想世界を大冒険だ。
ある日、ゲーム機が壊れた。
誰も家に来なくなった。
話しかけてくる人もいなくなった。
皆、『僕』の友達ではなく、
『ゲーム機』の友達だったのだ。
一人を除いて。
「今日は花札持ってきたからさぁ、遊ぼうぜ~」
僕が一番馬鹿にしていた友達だ。
「何でまだ家に来んの。ゲーム機壊れたよ?」
「知ってるよ。だから花札持ってきたんじゃん。」
そんな風にして、以前と変わらず毎日遊びに来た。
彼だけは、『僕』の友達だった。
心にぽっかり空いた穴を、
絆創膏で包むように、
体の芯が温かくなった。
今まで馬鹿にしててごめん。
もしよかったら、
これからも、僕の友達でいてくれよ。
「花札って、どうやって遊ぶの?」
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