すみ、すみ、すみ。

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「お化けが出る家に住み続けなくちゃいけないなんて、お前マジでかわいそーなやつ!」  そのクラスメートの中では、私の家は完全にお化け屋敷ということで確定してしまっていたらしい。だから違うって言っているのに、と段々私も腹が立ってきた。  しかし、言い返そうとした時、やんわりと間に入ってくる声があったのである。 「その理屈で言うなら、あんたもかわいそーなやつになると思う」  クラスメートの、亜樹(あき)ちゃんだった。彼女はいわゆる“文学少女”というもので、休み時間も大人が読むような難しい本を読むような、とにかく頭のいい子であったのである。彼女はじっと男子を睨むと、こう言い放ったのだった。 「そもそも、墓場じゃなくたって、人は死んでるんだよ。というか、地球上に人が死んでない場所なんかあると思う?」 「え」 「いいよね、見えないやつは。学校も自分の家も、オバケの満員電車なのに気づいてないんだけなんだから。なんなら、あんたの後ろにいる奴について、実況中継してあげようか?」 「!?」  人のことをオバケだなんだとからかってくる奴ほど実はめっちゃ怖がり、なんてのはよくある話なのである。亜樹ちゃんのその言葉に、男子どもは全員真っ青な顔をして逃げ出したのだった。なんともいい気味である。 「亜樹ちゃんありがと。あいつら、ウザかったんだよね」 「いいよいいよ。……あいつら、ほんとお子様だよね。これだから男子は」 「ほんとそれー」  その時初めて、私は亜樹ちゃんが笑うのを見た。助けてもらったのもそう、なかなか秀逸な切り返しに感心したのもそう。これが、私と亜樹ちゃんが仲良しになるきっかけとなったのである。  少し仲良くなると、彼女は教えてくれた。自分には、霊感と呼ばれるものがある、ということを。 「お化けはそこら中にいるけど、悪いものなんかほんと一握りだよ。それに、死んでもずっとこの世でううだうだしてるやつなんか稀なんだから」 「そ、そうなんだ」  まあ、時々そんな彼女の証言が怖かったのも事実だけれど。
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